フリーライター 白井康彦
前号の私の第4回の原稿で予告した通りに、2020年6月25日に名古屋地裁で生活保護裁判の判決が下りました。同様の内容の裁判は全国29地裁で展開され、名古屋が第1号判決でした。そのため、全国的に注目されました。しかし、結果は無残。原告敗訴でした。しかも、並みの不当判決ではありません。厚生労働大臣の裁量権をゆるゆるに拡大解釈した「歴史的不当判決」だと確信しています。その理由は、私以外の方が原稿を書いてくださるので省略します。この名古屋地裁判決は、物価の論点についても酷い不当判決でした。私はそちらを説明します。
まず、一連の裁判の概要や物価偽装がどんなものだったかを復習しましょう。厚生労働省は、2013年1月に生活扶助基準の切下げ案を決定しました。主な理由にしたのが、物価指数の下落率に連動させる物価スライドです。厚労省は、同省が開発した独自の消費者物価指数「生活扶助相当CPI」が2008年〜2011年に4.78%下落したと説明しました。私は、この下落率が異様に膨らまされた数字だと指摘し、重大な統計不正「物価偽装」だと追及しています。正しく計算した場合の下落率は1%未満だ・・・
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