ファクタリング被害対策の取組み

弁護士(東京) 三上 理

1 はじめに

 いわゆるファクタリングとは、企業が有する売掛債権を買い取り、その債権の管理・回収を行うサービスであるが、このところ、ファクタリングと称して、実質的には、資金繰りに窮した中小事業者らに対して、高金利で金銭を貸し付けているとみるべき事例が増えてきている(事業者ファクタリング)。

 さらに、昨年(2019年)頃からは、生活に困窮し、または多額の負債を抱えている労働者らに対して、その賃金債権を買い取るという名目により、実質的には、高金利で金銭を貸し付ける者まで、出てきた(給料ファクタリング)。

 そこで、これらの問題に対処するために、東京ファクタリング被害対策弁護団(代表弁護士釜井英法)は、2020年3月27日に結成され、以後、ファクタリング被害対策の取組みを行っている。また、この間に、日弁連も、ファクタリング問題への取組みを進めてきている。

2 給料ファクタリングについて

 東京ファクタリング被害対策弁護団は、2020年3月30日から4月3日、および4月20日から同月24日の2回に分けて、「給料ファクタリング被害ホットライン」(無料電話相談)を実施した。相談件数は、合計・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。