消費生活センター等における「あっせん」を目指した環境
─地元弁護士としての関わり─

弁護士(埼玉) 松苗弘幸

1 「あっせん」の向上を目指した環境

 今回の原稿は、消費生活相談における「あっせん」の位置づけをテーマとして、複数の弁護士・消費生活相談員の方から助言自主交渉との関係などを連続企画にて掲載されており、もし、過去の原稿をお読みでない方は、是非、お読みいただいたきい。

 そこで、改めて述べるまでもないことではあるが、消費者基本法は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差があることを鑑みて、同法第19条第1項で「地方公共団体は、商品及び役務に関し事業者と消費者との間に生じた苦情が専門的知見に基づいて適切かつ迅速に処理されるようにするため、苦情の処理のあっせん等に努めなければならない。」とし、その具体的施策として消費者安全法第8条及び第10条にて都道府県及び市町村による消費生活相談等の事務の実施及び消費生活センターの設置を規定している。

 すなわち、消費者と事業者の間には様々な格差があり、そのような格差が存在する状況において、いかに消費者と事業者の間の紛争を解決処理できるかという観点で考えるべきものである。これに対して、消費者の「自立」を理由に助言自主交渉を重視・・・

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