1市3町の連携による消費生活安心条例の制定について

消費者教育NPO法人お金の学校くまもと 徳村美佳

1 はじめに

 2020年6月、玉名市・玉東町・和水町・南関町の1市3町が相互に連携を図りながら協力して消費者施策を実施する「消費生活安心条例」が制定された。この条例では、1市3町が消費者行政を実施する場合の基本的枠組みを定めるとともに、行政の責務を明らかにしている。また、「訪問販売お断りステッカー」等があらかじめ貼られている消費者宅を事業者が勧誘してならないという、事前拒否者への訪問販売を禁止する制度(いわゆる「Do-Not-Knock制度」)についても定めている。

 私は、多重債務問題の未然防止を目的とした消費者教育NPO法人お金の学校くまもとの活動と同時に、玉名市消費生活センターで消費生活相談員として従事している。このふたつの視点から、今回、自治体が連携して条例を制定するという先進的な取組みが短期間に実行できた背景や経過を紹介する。

2 条例制定の背景

① 定住自立圏形成協定による消費生活相談窓口の体制整備(OJT事業)

 玉名市・玉東町・和水町・南関町の1市3町(以下、1市3町)は、熊本県の北部に位置しており、人口は合わせて約9万人である。この1・・・

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