コロナ問題における生活困窮者の住宅問題

一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事 稲葉 剛

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済危機が長期化し、先行きが不透明な状態が続く中、国内の貧困も急速に拡大している。

 生活困窮者支援の現場では、かつてないほど多くの人が貧困に直面するという「もう一つの緊急事態」が広がっている。

 「ネットカフェ休業により、住む場所がなくなってしまいました」

 「携帯も止められ不安でいっぱいです。もう死んだ方が楽になれるのかなと思ってしまいます」

 「お金がなく、携帯もフリーWi-Fiのある場所でしか使えず、野宿です」

 これらは、私が代表理事を務める一般社団法人つくろい東京ファンドが開設した緊急のメール相談フォームに寄せられたSOSのごく一部である。

 東京都で4月8日に緊急事態宣言が発令され、11日にはネットカフェにも休業の要請が行われた。

 都内のネットカフェ等に寝泊まりをする住居喪失者は約4000人(2017年、東京都調査)と推計されているが、この人たちの多くが居場所を奪われる事態が生じたのである。

 4月7日に私たちが開設した緊急のメールフォームには、5月末までに約170件のSOSが寄せられた。

 ネットカフェに寝泊まりをしてい・・・

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