ドイツにおける送り付け商法等の規制について─BGB241a条を中心に─

関西大学法学部教授 寺川 永

1 はじめに

 事業者が、注文を受けていないにもかかわらず一方的に消費者に物品を送付し、または役務を提供した上で消費者に代金等を請求する「送り付け商法等」1について、ドイツでは不正競争防止法(UWG)による規制がある。UWG3条3項によれば、附則に示された消費者に対する取引行為は常に違法であるところ、「注文をしていないにもかかわらず引き渡された物品若しくは提供された役務について支払いを求めること又は注文をしていない物の返送若しくは保管を求めること」(附則29)に該当する取引行為は常に違法となる。ただし、そうした取引行為に対する差止請求権等の行使主体は競争事業者、事業者団体または消費者団体等に制限され(UWG8条3項)、消費者個人がこれらの権利を行使することはできない。以上に加えて、ドイツ民法典(BGB)には送り付け商法等に関する規定としてBGB241a条(注文のない給付Unbestellte Leistungen)がある2

BGB241a条

(1)事業者が強制執行制度その他裁判上の制度に基づいて販売されるものではない動産(物品)を消費者に引き渡す場合又は事業者がその

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