特定商取引法59条の解釈と問題点
─ネガティブ・オプションにおける保管義務と所有権の帰趨─

弁護士(大阪) 浅野永希
弁護士(大阪) 西塚直之
弁護士(大阪) 薬袋真司

1 はじめに

 特定商取引法59条1項は、ネガティブ・オプション(送り付け商法)について、商品の送付があった日から14日間(消費者が引取請求をした場合にはその日から7日間、以下、本稿では「回復期間」という)が経過すると、事業者は返還請求ができなくなると規定している。この規定により、ネガティブ・オプションをめぐる法律関係は一見単純で明瞭なように思われるが、実は必ずしもそうとはいえず、解釈論上難しい問題が残されている。

 以下、最も基本的な問題である回復期間中の「保管義務」と回復期間の経過の効果である所有権の帰趨について、その議論と問題点を確認したい。

2 回復期間中の「保管義務」

 回復期間中の受領者の保管について、特定商取引法は明文の規定を置いていない。そこで、受領者に「保管義務」が認められるのか、その根拠と具体的な基準・内容をどう考えるのかについて議論がなされている。

 この点、消費者庁を含め比較的多くの見解は、立法担当者が受領者に保管義務があるとの前提で説明を行っていたことから1、受領者に「保管義務」があることを前提として、その・・・

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