2020.6.26.「『悪質なお試し商法』に関する意見」について

内閣府消費者委員会事務局参事官補佐 弁護士(東京) 木下聡子

1 意見発出の背景・経緯

 消費者委員会は、令和2年6月26日、消費者庁に対して、「『悪質なお試し商法』に関する意見」(以下「本意見」という)を発出した1

 本意見発出の背景としては、第一に、相談件数の圧倒的な多さが挙げられる。すなわち、「お試し無料」等をうたいながら実際は定期購入を条件とした契約を締結させるといった消費者問題(以下「本件問題」という)がここ数年で急増しており、PIO-NET上の定期購入に関する相談件数は、平成28年4月から令和2年5月までの累計件数で11万件を超えている。その現状に対して早急に対応する必要性が背景としてあった。

 第二に、当時、消費者庁において「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」(以下単に「検討委員会」という)が開催されており、まさに本件問題に関連する規制である特定商取引法2の制度の在り方が議論されていた。そこで、当該検討委員会による取りまとめ前に、これに向けて問題提起を行うことが時宜に適うという意図があった。

 以上のような経緯により、消費者委員会は、いわば緊急の対応として、短期間で・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。