「消費法典構想」
─津谷さんに与えられた宿題─

弁護士(大阪) 村本武志
弁護士(大阪) 吉田 実
弁護士(大阪) 薬袋真司

 津谷さんが、日弁連消費者問題対策委員会の委員長に就任したのは2009年6月のことであった。当時、民法(債権法)改正検討委員会が公表した『債権法改正の基本方針』において、民法に消費者概念を取り入れるとともに、消費者契約法の実体規定を民法に統合することが提案されていたことから、消費者法の進むべき方向性について激しい論争が巻き起こっていた。その年の10月の消費者法学会のシンポジウムでも白熱した議論が戦わされた。

 津谷さんは、この問題は消費者法の今後の在り方に大きな影響を及ぼすと関心を示され、いち早く民法への統合に強い懸念を表明され、同時に、包括的な消費者法を実現することこそが消費者法の進むべき道との見解を表明されていた。

 当時、私たちは、包括的な消費者法を求めるのであれば、単に消費者民事ルールを民法に統合することに反対するだけでなく、具体的な提案を行っていくべきであると考え、2010年8月に予定されていた近弁連の夏期研修会において、統一的な消費者法の試案を示すべく、その準備に入っていた。近弁連消費者保護委員会の取組みではあっ・・・

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