秋田での不招請勧誘禁止条例制定の取組みが残したもの

弁護士(秋田) 近江直人

1 取組みの概要

 2005年初めころから2009年にかけて、秋田県議会議員の超党派の有志9名は、津谷裕貴弁護士を中心とする秋田弁護士会消費者問題対策委員会若手委員とともに、不招請勧誘禁止条例を制定しようと取り組んだことがあった1

 県議会のほぼすべての会派からメンバーが参加してプロジェクトチーム(以下「PT」という)が作られ、39回もの検討会議が重ねられ、そこに津谷弁護士や若手弁護士が参加して支援をし、業界団体や消費者団体にヒアリングを行い、Do Not Call制度についてアメリカ、カナダの関係機関に海外調査に行くなどして、2009年3月3日、条例案を取りまとめたのであった。

 条例案の内容は、訪問販売、電話勧誘販売について、リスクの高い取引についてオプトイン規制を設けるとともに、勧誘拒否登録制度(オプトアウト規制)を設け、これに違反した場合の行政による措置の指示、業務停止処分、公表、業務停止処分に違反した場合には罰則を科す、というものであった。

 この条例案審議のためPTは特別委員会を設置しようとしたが、自民党などの反対により設置が否決され、審議がされない状態となってしまっ・・・

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