消費者被害救済だけではなく消費者市民社会の実現にも熱心だった津谷弁護士

日本女子大学教授 細川幸一

 2010年11月4日に起きた津谷先生の事件から早や10年が経ち、本特集が企画された。

 この特集への寄稿の依頼を受け、当時の津谷先生とのメールのやり取りを調べてみた。最後の先生とのやり取りは同年9月9日。その1年前の2009年11月に開催された第52回日本弁護士連合会人権擁護大会(和歌山大会)に向けて、韓国の消費者行政の実態調査を行ったのだが、その打ち上げの企画のメールだった。また、当時、私が日本女子大で准教授から教授へ昇格し、そのことを知った津谷先生がそのお祝いもしたいとのお申し出であり、お気遣いがうれしかった。

 そのときに決めた日程は11月10日だった。事故の6日後だ。私はテレビのニュースでその事件を知った。被害者が津谷先生と知ったときの衝撃は今でも鮮明に覚えている。結局、打ち上げは幻となった。

思い出の津谷先生との韓国調査

 第52回人権擁護大会第3分科会テーマである「安全で公正な社会を消費者の力で実現しよう〜消費者市民社会の確立をめざして〜」の報告・討議に資するため、韓国における「消費者市民社会」実現のための消費者・消費者団体の自立支援策や、政策への消費者の参画の・・・

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