弁護士(大阪) 国府泰道
はじめに
(1)本特集において、不招請勧誘に関わる動き全般については、石戸谷豊弁護士が書かれ、条例による不招請勧誘規制については、近江直人弁護士が書かれている。
そうすると、私としては、特に「商品先物取引における不招請勧誘規制とその緩和の動き」について、記録を残しておかねばならないとの思いで、この原稿に向かうことにする。私は2012年6月から2年間、日弁連消費者問題対策委員会委員長を務めたが、その任期中の重要課題の一つが商品先物取引における不招請勧誘規制の廃止問題だったからである。
(2)悪質な消費者被害は、自宅訪問・電話勧誘といった不意打ち的で攻撃的な方法によってなされる。消費者の自発的な意思で契約するのではなく、事業者によって作られた「契約意思」でしかないことが多い。業者による突然の一方的な勧誘行為によって取引関係に入ることになり、消費者が当該取引について適正な判断ができるだけの時間的余裕と情報が与えられないまま取引に引きずり込まれてしまうのである。不招請勧誘が悪質な消費者被害の温床になってきたことから、被害予防のためにその規制が求められてきた。そのような分野の一・・・
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