先物取引被害の救済から被害防止の法制度の実現まで
─消費者弁護士津谷裕貴さんの取組み─

弁護士(埼玉) 池本誠司

被害救済から被害防止まで

 津谷さんは、弁護士活動1年目に先物取引被害事件を受任し、被害救済に取り組むため「先物取引被害全国研究会」に参加し、一連一体の取引型不法行為の成立を認めた最高裁平成7年7月4日判決を獲得し、先物取引被害事件に取り組む弁護士向けの「先物取引被害救済の手引」を執筆し、日弁連で法改正に向けた意見書の提出や主務省との交渉を重ね、不招請勧誘禁止を含む商品取引所法の2009年改正を実現した。その結果、先物取引被害の相談件数は激減した。まさに、消費者弁護士として被害救済から被害防止の法制度の実現までフルコースで取り組み、素晴らしい成果を上げた。

 消費者保護法制度の改正運動といえば、金利引下げ・貸金業法改正の取組みが挙げられるが、被害防止の実効性ある法制度の実現という点で比べると勝るとも劣らない顕著な成果である。様々な消費者問題に取り組む消費者法ニュースの読者の皆さんにとっても必ずや参考になると思われるので、津谷さんの活動の一端を紹介させていただきたい。

先物取引被害全国研究会での取組み

 先物全国研は、1982年の第1回研究会から始まり、当初は少人数で年3回、そ・・・

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