コロナによるキャッシュレス決済への影響

上杉めぐみ(愛知大学)

 政府は、東京オリンピック・パラリンピックや大阪・関西万博に向けて、国内のキャッシュレス決済比率を2018年時点の20%程度から2025年には40%、最終目標として80%を到達目標としている(経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」(平成30年4月)より)。

 2020年6月末日まで実施されていたポイント還元事業により、いったんは決済比率が上昇したものの、その後、思った程には伸びず、9月から開始されたマイナポイント事業もあまり効果をあげていないようだ。しかし、新型コロナウイルスを機に、キャッシュレス決済に思わぬ形で追い風が吹いている。「感染を避けるために、銀行の店頭に出向くのではなく、ダウンロードしたアプリから振込みをする」「感染を防ぐために、現金に触らない」という意識がキャッシュレス決済の利用を拡大させており、20代の若い世代や40代のミドル世代だけでなく、情報弱者の割合が多いとされる60代以上のシニア世代でもその傾向にあるという(データにつき、「週刊エコノミスト」4659号72-73頁参照)。同調査では、コロナ終息後もキャッシュレス決済の利用意向は継続するという。数年・・・

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