第3章 特定商取引

弁護士(大阪) 西村陽子

 120号から123号までの特定商取引法関係の判決には、以下4件の判決がある。 〔1〕は、訪問販売によるリフォーム工事契約に関して、一式と記載されていたペンキ塗装工事の具体的内容について、契約内容の特定のために不必要であるということはできないとして、特商法9条1項による解除を認めた控訴審判決である。特商法が法定書面の交付を義務付けたのは、訪問販売においては、購入者が取引条件を確認しないまま取引行為をしてしまったり、取引条件が曖昧であったりして、後日、両当事者間の紛争を惹起するおそれがあるからであって、このような後日の紛争防止という趣旨に照らせば、購入者等に交付された法定書面それ自体によって契約内容等が明らかとなることが必要というべきであり、書面交付時の口頭説明によって補われれば足りると解するのは相当でないと判示している。

 〔2〕と〔4〕は、開運等の効果を謳って「天珠」という石を6回にわたり購入させた事案についての地裁及び控訴審判決である。地裁判決では、契約(1.6契約)のうち、2.6契約につき、時価(市販参考価格)の 10倍を超える売買であったこと、販売目的隠匿があっ・・・

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