第2章 クレジット・リース・決済手段

弁護士(大阪) 松尾善紀

1 クレジット・リース・決済手段関係の判例・和解

 2019年消費者法白書(当ニュース120号)以後の当ニュース判例和解速報・判例データベースに報告されたクレジット・リースに関する判例・和解、その他の重要判例・和解は、以下の2件である。

(1)東京高裁・令和元年 11月14日判決(法ニュース123号・208頁)〔1〕

【事案の概要】

 販売店から美容品一式を代金分割払い(自社割賦)で購入した顧客3名に対し、販売店から売買代金債権を譲り受けた事業者(自称ファクタリング業者)が売買代金債権の請求をした事案。

 顧客らは、美容品一式を購入するにあたって、販売店の勧誘員からエステティックサービスを受けるための契約であり、美容品一式を購入する契約の代金の負担は販売店が行い、顧客らには負担がないと説明されていた、契約が成立しているとしても販売店に対して抗弁(クーリング・オフ・取消権・錯誤無効)があり、当該抗弁を以って、事業者からの譲受債権請求に対抗できると主張した。

 事業者は、債権譲渡につき顧客らは民法 468条1項の異議なき承諾をしていることから顧客らは抗弁権を喪失するので、支払拒絶ができない・・・

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