弁護士(兵庫) 鈴木尉久
第1 はじめに
本稿では、消費者契約法5条1項について、その趣旨、要件、効果の解釈を論じる。
第2 民法上の考え方としての「交渉補助者の法理」
交渉補助者とは、契約にのぞむ当事者の一方(以下「本人」という。)から契約締結交渉を依頼され、他方当事者(以下「相手方」という。)に対して、契約条件の説明、契約書の作成事務など契約締結過程において本来本人が行うべき事実行為の代行をする者をいう[1]。
契約締結過程における交渉補助者の行為態様(詐欺、誤認困惑惹起行為など)又は認識(悪意・過失)等は、当該交渉補助者を利用した契約当事者に当然に帰責され、当該交渉補助者を利用した契約当事者は、当該交渉補助者の行為態様又は認識等を自らの行為態様又は認識等と同視されて、相手方からの無効・取消等の主張を受ける地位に立つ。
交渉補助者の法理は、複合契約における「分業は地位の強化をもたらさない」という理念[2]に基づき、①分業による規範潜脱の防止[3]、②他人の行為利用に伴う報償責任・危険責任[4]、③契約的接触時における信義則上の義務[5]、により根拠づけられる。
交渉補助者は、本人から委託を受けて・・・
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