昭和59年の割賦販売法改正に至る紆余曲折

神奈川大学名誉教授 石川正美

1 割賦販売法の立法過程を検証する意味

 割賦販売法は昭和36年に制定・施行された後、累次の改正を経て今日に至っているが、現在の個別信用購入あっせんの前身である個品割賦購入あっせんを規制対象に加え、抗弁の対抗に関する規定を新設した昭和59年改正は、重要な改正の一つである。

 制定の過程でも多くの問題が存在した割賦販売法は、その後の改正の過程でも多くの問題に直面して来たが、59年改正の際も、その例外ではなかった。

 ところで、内閣提出法律案は、それを所管する各省庁が原案を作成し、内閣法制局における審査と閣議決定を経て国会に提出されるが、特定企業の保護と相手方の保護とは理念的に矛盾する部分が存するのみならず、現実にも屡々相容れない結果を招来することからすれば、ある産業の振興・発展を図ることを任務とする所管省庁が当該産業の顧客の保護を適切に実現する法律案を作成することには種々の困難がつきまとうと考えられる。

 個品割賦購入あっせんに関する消費者被害が激増する中で行われた59年改正は、そのような観点からも、教訓に満ちた事例である。

2 消費者信用産業懇談会報告

 昭和55年7月に、通産省・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。