「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会」について

日本弁護士連合会消費者問題対策委員会副委員長
(消費者契約法部会部会長) 平尾嘉晃

1 はじめに

 令和4年5月消費者契約法改正に先立つ消費者契約に関する検討会報告書においては、消費者の取消権に関して、「困惑類型の脱法防止規定」(いわゆる包括的な受皿規定)、「消費者の心理状態に着目した規定」及び「消費者の判断力に着目した規定」が提案されていました。しかし、これら提案は、内閣法制局の法制化の段階で見送りとなり、改正で新たに追加された取消権は、要件の明確化が過度に要求され極めて限定的なものとなりました。

 その要因としては、さまざま考えられますが、主には、消費者契約法の取消権が契約そのものを覆すいわゆる強い民事上の効果であることの反射として、要件の厳格化・明確化を求められてしまうことがあげられます。また、消費者契約法の取消権は民法の詐欺(誤認類型)、強迫(困惑類型)という意思表示の瑕疵理論を前提としていますが、超高齢化という取引環境の変化の問題、インターネット上のいわゆるダークパターン等で消費者が無意識的に行動させられている等の問題は、このような意思表示の瑕疵理論だけで対応できるのか、さらには、これら・・・

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