大阪IRをめぐる住民訴訟の現状
─格安賃料と鑑定談合の疑惑─

弁護士(大阪) 米田直人

1 はじめに

 大阪市が推進するIR(統合型リゾート)事業をめぐり、複数の住民訴訟が提起され、大きな問題となっています。特に、IR用地として夢洲を大阪IR株式会社に著しく格安な賃料で貸し付けている点が、地方自治法第237条第2項に定める「適正な対価」に反するとして、住民訴訟が提起されています。

2 「鑑定談合」の疑惑

 問題の中心は、夢洲の賃料算定に用いられた不動産鑑定です。住民らは、賃料が月額428円/㎡と算定された経緯に重大な疑義を呈しています。

(1)評価額の不自然な一致

 鑑定評価額が複数の不動産鑑定業者間で完全に一致した点について、不動産鑑定業界の常識からして「奇跡的」であり、不自然であると指摘されています。

(2)不当な条件設定

 大阪市が鑑定依頼時、IR用地としての利用にもかかわらず「IRを考慮外」とするなど、不当に賃料が安くなるよう条件を設定したとされています。

(3)情報隠蔽と誘導の疑い

 大阪市が主導して複数の鑑定業者間で評価方針に関するメールをやり取りし、評価条件を示唆・誘導した疑惑があります。これらのメールは、当初「不存在」とされましたが、後に存在が判明し開示されま・・・

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