いのちのとりで裁判最高裁判決の歴史的意義と今後の課題

弁護士(京都) 尾藤廣喜

最高裁判決の内容と意義

 既報(消費者法ニュース145号での冨田晋平弁護士報告)のとおり、2025年6月27日、最高裁判所第三小法廷(宇賀克也裁判長)は、「いのちのとりで裁判」(生活保護引下げ処分取消し請求訴訟)の大阪地裁分と名古屋地裁分の上告審判決で、原告側勝訴の判決を言い渡した。

 その内容は、原告側の損害賠償請求は認めなかったものの、「厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があり、生活保護法3条、8条2項に違反して違法」であるとして、2013年から3年間にわたる生活保護基準引下げ(以下「2013年引下げ」という)を全員一致で取り消すものだった。全員一致の多数意見は、2013年引下げによる削減額の9割近くを占める「デフレ調整」(物価の下落を理由とする引下げ)についての違法性を明確に認め、生活扶助基準引下げ処分の取消しを命じたのだ。

 これまで生活保護基準をめぐってその額の違憲・違法性が争われた裁判としては朝日訴訟、老齢加算と母子加算の削減廃止を争った生存権裁判があったが、基準の額自体の生活保護法(以下「法」という)違反が最高裁で認められたのは、生活保護裁判史・・・

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