心の悩みを抱える消費者をトラブルから救うには

(公社)全国消費生活相談員協会北海道支部 細谷佳世美

1 心の悩みを抱える消費者の増加と消費生活相談現場

 数年前の事例である。相談者20歳代女性無職。お試し価格500円のダイエットサプリをスマートフォンから注文後、定期購入と判明。精神疾患がありグループホーム居住中で1日のお小遣いは500円。2回目以降の料金が支払えないという相談だった。他のダイエットサプリの定期購入の契約も数社あった。相談者の言葉は、内容が曖昧で契約資料を出してもらうことも困難だったためあっせんは難航したが、なんとか解決した。しかし、1年後に同様のトラブルで再相談となった。「一緒に頑張りましょう」と声をかけたが、その後、電話に出なくなり、連絡が取れなくなった。

 スマートフォンの普及により、誰もが24時間インターネットを通じて契約ができるようになった。心に悩みを抱える消費者は、悪質な事業者のプロファイリング技術による興味・関心や不安に付け込む手口のターゲットになりやすい。消費生活センターにおいて、消費者関連の法制度を踏まえて消費者トラブルの解決を図るには、契約に至る経緯や要望を相談者から聞き取ることが不可欠である。そのためには・・・

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