食の安全は国内外で危機的状況となっています

食の安全・監視市民委員会共同代表 山浦康明

1 トランプ関税をめぐる動き

 2025年7月、トランプ米国大統領との日米関税交渉は日本車に対する15%の関税引き上げを日本側が受け入れ、一定の決着をみました1。しかし、その合意内容はいまだ十分に開示されておらず、牛肉のBSE規制の緩和、豚肉の輸入拡大、遺伝子組み換え大豆の輸入拡大、ジャガイモの輸入時の用途拡大など、日本側の非関税障壁を緩和することもその内容になっている可能性もあります2

 マスメディアは「国益重視」を掲げ、日本の自動車の輸出の減少が日本の製造業の衰退につながるとの論調3が中心ですが、日米貿易交渉においては、これまで積み重ねてきた国際関係のルールについて、各国の国民の利益を守るためのルール4が無視されていることを強調すべきです。私たちは、第2次世界大戦の惨禍の中から、平和、人権を守るためにつくられた国際連合(UN)、国際司法裁判所、世界貿易機関(WTO)、専門機関たるコーデックス委員会5など限界はあったもののこれまで果たしてきたこれら機関の存在意義そのものが失われていることを、深く憂慮します。

2 消費者庁の情報かくし

 また、食品をめぐる・・・

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