原発の積極活用路線とさらなる膨大な費用の国民負担

弁護士(兵庫) 古殿宣敬

1 原発新設へ調査を開始した関西電力

 関西電力は、2025年7月22日、美浜原発(福井県美浜町)の建替えに向け、地質調査を実施する方針を表明した。

 2011年の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故以来止まっていた新たな原発建設の動きが具体化したのは初となる。この原発の新設には1基1兆円の建設費が見込まれ、建設費は電気料金に上乗せされることが検討されており、国民の負担増となる可能性が生じている。

2 原発を最大限利用するとするこれからの原発政策の決定

 福島第一原発事故以降、政府は、可能な限り原発依存を低減する方針を表明していた。

 しかし、2022年に、岸田文雄前首相が「原発の最大限利用」を掲げ、2025年2月18日に「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定され、「原子力は、国民からの信頼確保に努め、安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していく」とされた。

 この基本計画では、①原発の再稼働、②廃炉を決定した原発敷地内での原発の建て替え、③六ヶ所再処理工場(青森県六ヶ所村)の竣工、④次世代革新炉の研究開発の推進、に取り組むことが決定された。

 ①の原発再稼働については・・・

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