消費者政策と消費者法をめぐる最近の関係省庁の動きについて
:デジタル化と高齢化

一橋大学名誉教授 弁護士(東京) 松本恒雄

1 はじめに

 本稿は、8月2日に開催された「2025・消費者法ニュース大阪リレー報告会」での筆者の報告を要約したものである。そこでは、消費者政策と消費者法をめぐる大きな課題であるデジタル化と高齢化についての最近の関係省庁の動きを紹介して、コメントした。

2 デジタル化

(1)消費者月間

 消費者庁は、2023年に初めて、消費者月間のテーマとしてデジタルの問題を取り上げた。しかし、その際のテーマは、「デジタルで快適、消費生活術〜デジタル社会の進展と消費者のくらし〜」であって、ポスターにおいてもデジタル化に適応できれば快適な生活が送れるという光の部分のみが強調されていた。

 2024年の消費者月間においても、「デジタル時代に求められる消費者力とは」というテーマが掲げられ、「デジタルサービスの仕組みやリスクへの理解や、情報に対する批判的思考力、適切に情報を収集・発信する力、これらのアップデートを続けていくとともに、『気づく・断る・相談する』というこれまでも必要とされた基礎的な力も引き続き高めていく必要がありそうです」との説明が付されている。気づく、断る、相談すると・・・

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