弁護士(大阪) 松森 彬
最近の民事訴訟 ─ 証人調べをしない問題
最近の民事訴訟は、当事者や証人の尋問を申請しても裁判所が採用しないことがあります。高等裁判所では、期日自体が減っていて、8割近い事件が1回の期日で結審します。かつては、地裁でも高裁でも、もっと当事者や証人を調べたのですが、訴訟の件数が増えるにつれて、裁判官は調べをしなくなり、かつての約4分の1にまで減りました。必要な証拠調べがされませんと、事実の解明ができず、人々の権利の保護や正義の実現ができないことが出てきます。
外国の訴訟はもっと調べる
ドイツでは、裁判所は当事者が申請した証人や証拠を原則として調べなければならないとされています。アメリカでも、日本よりも多くの証人を呼んで調べることができます。
しかし、日本では、証人を調べるかどうかは裁判官が自由裁量で決めてよいというのが裁判所の考え方です。裁判官の胸三寸になっていて、当事者や弁護士から不満が出ることがしばしばあります。日本の民事訴訟はガラパゴス化して、近代訴訟ではなくなる懸念が出てきています。
「訴訟当事者の権利」の尊重が必要
憲法32条は、人々の「裁判を受ける権利」を保障していま・・・
この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。