弁護士(大阪) 生越照幸
要旨
大阪高裁は、財務省又は近畿財務局が特定の被疑事件の捜査について東京地方検察庁又は大阪地方検察庁に任意提出した一切の文書ないし準文書の情報公開請求に対し、当該行政文書の存否を明らかにして開示又は不開示決定を行ったとしても、上記被疑事件の捜査や控訴の維持等に支障を及ぼすおそれがあるということはできず、財務大臣及び近畿財務局長が行った本件各不開示決定は違法であって、取り消されるべきであると判示した。
解説
第1 事案の概要
本件は、近畿財務局の職員であった赤木俊夫氏が、学校法人森友学園に対する国有地売却問題に関して行政文書の改ざんを強制され自殺したことから、同氏の妻である赤木雅子氏が、令和3年8月11日、財務大臣及び近畿財務局長に対し、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づき、同問題に関連した被疑事件の捜査について、財務省及び近畿財務局が東京地方検察庁または大阪地方検察庁に対して任意提出した一切の文書ないし準文書(以下「本件各文書」という)の開示請求を行ったところ、同大臣及び同局長が、同年10月11日、同法5条4号及び8条に基づき行政文書不開示決定(存否応答拒否・・・
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