第8次内閣府消費者委員会委員長 鹿野菜穂子
1 はじめに
内閣府消費者委員会は、令和5年11月7日付の内閣総理大臣からの諮問を受けて、「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」を設置し、同専門調査会では、沖野座長の下、同年12月から計25回にわたる審議を経て報告書がとりまとめられた。令和7年7月9日の第465回消費者委員会本会議では、委員会として「報告書の内容を踏まえ、消費者ならば誰しもが多様な脆弱性を有するという認識を消費者法制度の基礎に置き、既存の枠組みに捉われない抜本的かつ網羅的なルール設定に向けて、種々の規律手法を目的に応じ有効かつ適切に組み合わせて実効性の高い消費者法制度を整備すべく更なる具体的な検討を行うなど、必要な取組を進めることが適当」という答申を行った。
2 パラダイムシフトに係る審議の意義
パラダイムシフトに係る諮問および今回の議論は、直接的には、令和4年の消費者契約法改正の際の衆参両議院委員会の附帯決議を受けて開始されたものであるが、その対象は、消費者契約法に限るものではなく、幅広く消費者取引法制を対象とし、民事法だけでなく行政規制や刑事規制、さらには、法的規制・・・
この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。