弁護士(京都) 尾藤廣喜
1 事案の内容
(1)大阪府A市に住むBさんは、2012年(平成24年)6月1日から、生活保護を利用するようになった。なお、同一世帯に属する者としては、下記の申請当時、長男Cさん(17歳)がおり、二人での母子世帯であった。
長男のCさんは、療育手帳総合判定Aの障害があり、Bさんは、2020年(令和2年)6月23日に特別児童扶養手当を申請したところ、同年7月から月額34,970円が支給されるようになった。
(2)Bさんは、A市福祉事務所長に対してこれについての申告義務があることを知らなかったが、A市長は、この手当をBさんが受給していることを知り、2020年(令和2年)7月分から同年12月分までの特別児童扶養手当受給額209,820円について、生活保護法(以下「法」という。)63条に基づいて全額を返還せよとの決定をなしてきた。
また、A市長は、費用返還決定をした209,820円について、費用徴収するとの決定をBさんになしてきた。
(3)Bさんが、この二つの処分が不服であるとして大阪府知事に審査請求した事件がこの事件である。
2 本件についてのBさんの主張
(1)法63条は、保護を・・・
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