弁護士(東京) 郷原信郎
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選挙は、選挙前の予想を覆し、不信任決議案の可決で失職した前知事の斎藤元彦氏が当選したが、その選挙をめぐって、いくつかの公職選挙法違反等の問題が表面化した。
既に刑事告発が受理され、捜査が行われているのが、斎藤氏がPR会社に支払った「ポスター・チラシ等のデザイン制作費」の名目での71万5000円が、SNS運用等の選挙運動に対する対価支払いとして買収罪に当たるのではないかという問題、稲村候補に関して大量のデマ投稿が行われた職選挙法違反の虚偽事項公表罪に当たるのではないかという問題だ。そして、立花孝志氏が、当選する目的なく立候補して斎藤氏を応援する活動を行ったことが「二馬力選挙」として公選法の規制を潜脱することになるのではないかということも問題になった。
これらの問題はいずれも、SNSが選挙に果たす役割が非常に大きくなったことと関係している。立花氏が「不信任案可決の理由とされた斎藤知事批判」を覆す話をして、斎藤氏への支持を呼び掛けた話も、街頭演説のYouTube動画やその切取り動画による拡散が大きな影響を生じたものだった。このように・・・
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