残酷なビジネスの犠牲になった犬、そして猫に報いるには

朝日新聞記者 太田匡彦

 22万3118匹。2014年度から22年度の9年間に、繁殖から流通、小売りまでの過程で死んだ犬猫の数です。繁殖業者やペットショップが年度ごとに所管自治体へ提出する「犬猫等販売業者定期報告届出書」を独自に調査、集計してはじめてわかりました。

 この死亡数に、原則として死産は含まれません。また繁殖に使われたのちに、繁殖能力が衰えて引退させた犬猫は「販売または引き渡した数」として集計されるため、寿命で死んだような犬猫も含まれていません。同届出書の提出義務を順守しない業者も少なからず存在します。22年度でみると、提出率は84.6%でした。さらに言えば、業者のすべてが正直に死亡数を報告するとは思えず、どちらかといえば少なめの数を書く可能性が高い。

 それでも毎年約2万5千匹という数に達します。流通過程におけるこの死亡数は、全国の自治体による殺処分数(22年度は1万7241匹、環境省調べ、負傷動物を含む)をゆうに上回るものです。ペットショップの明るいショーケースのなかで無邪気に遊ぶ子犬・子猫たちの背景には、これだけの数の犠牲があり、深い闇が広がっているのです。

 足かけ17年、ペット業界・・・

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