統一教会の被害救済、被害抑止のために更なる法整備を求める

弁護士(東京) 木村 壮

1 はじめに

 令和4年7月の安倍元首相銃撃事件以降、統一教会の霊感商法や高額献金の悪質さ、被害の深刻さが改めて脚光を浴びました。このような経済的被害に加え、信者の下で育てられた二世、三世が生育過程において深刻な人権侵害を被ってきたことが明らかになりました。事件を受けて、国会でもこれらの問題が審理され、同年12月10日には不当寄附勧誘防止法が成立し、同年12月27日に「宗教の信仰等に関係する児童弱体等への対応に関するQ&A」が厚生労働省から発出されました。

 さらに、令和5年12月13日には、特定不法行為等被害者特例法が成立し、解散命令請求を受けた宗教法人による財産処分に一定の制限を設けるとともに、被害者が損害賠償請求等の法的措置を講じる際に法テラスから経済的援助を受けることができるようになりました。

 しかし、これらの法令等の内容や運用には多数の課題があり、統一教会の被害救済や被害抑止が十分可能になったとは言えません。

 また、現在、東京地裁で審理されている、統一教会に対する解散命令請求事件は、今年1月27日に審理が終結したとされ、年度内にも解散命令請求について決定が・・・

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