(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 田村富美
2024年の消費者白書によると、障がい者等の消費生活相談件数は年々少しずつ増えており、昨年度は2万4615件であった。同書によると、消費生活相談全体では、契約者本人からの相談が占める割合は8割であるのに対し、本人が障がい者の場合の相談の割合は、5割にとどまり低いという評価がなされている。もっとも、障がい者本人による相談の割合は2014年が35.2%、2023年は46.8%であり、10年間で10%上昇し、上昇傾向にある。更に同書では、「判断力の不足」や「契約内容の理解不足」がトラブルを引き起こす原因となっていると分析しているが、判断力の不足した人や契約内容の理解ができない人が自分で消費生活センターに相談し、トラブルの内容を伝えることはかなり難しいと思われる。そこで、障がい者が消費生活センターに相談する際、少しでもスムーズに相談できるように、これまで行ってきた支援学校や障がい者団体での消費者啓発講座での取組みについて、以下紹介する。
一方的な啓発から双方向型啓発へ
私が10年ほど前実施してきた啓発講座は、ほぼ講義形式で契約、・・・
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