「人間の尊厳」を実現する司法の役割と普遍主義
─ドイツ・スウェーデン調査から見えた私たちが進むべき未来─

弁護士(富山) 西山貞義

1 日弁連ドイツ・スウェーデン調査の概要

 日本弁護士連合会(以下「日弁連」)は、2024年10月3日、第66回人権擁護大会シンポジウム第1分科会「今こそ「生活保障法」の制定を!〜地域から創る、すべての人の“生存権”が保障される社会〜」を開催した。

 筆者は、このシンポジウムのため行われたドイツ・スウェーデン調査に参加し、シンポジウムにおいて海外調査報告を担当した。本稿では、ドイツ・スウェーデン調査で筆者が感じたことを簡潔に報告する。

 なお、詳細な報告等は日弁連ホームページで公開しているシンポジウム基調報告書に掲載されている。海外調査報告の動画も日弁連ホームページにて公開されている(https://video.ibm.com/recorded/134186053 「日弁連 IBMビデオ」で検索すれば配信ページを確認できる)。

2 「司法の本質的役割」を十全に果たし「人間の尊厳」を徹底して守るドイツ司法

 ドイツ連邦憲法裁判所を訪れた際、メッスリング判事は、堂々と次のとおり述べた。

 『ドイツ基本法1条1項は、「人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し保護することは、すべての国家権力の義・・・

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