公益通報者保護法の改正に関する意見書及び改正について

弁護士(東京) 藤田 裕

1 改正への動き

 日弁連は2024年8月22日付けで「公益通報者保護法の更なる改正と制度の充実を求める意見書」(以下「意見書」という)を公表した(本号20頁に要旨)。また、消費者庁・公益通報者保護制度検討会は同年12月27日付けで報告書を公表し、さらに、改正法案が第217回通常国会に提出され審議中である。これに対し、日弁連は2025年3月13日付けで公益通報者保護法の一部を改正する法律案についての会長声明(本号21頁)を公表している。

2 法の制定及び改正

 公益通報者保護法は、製品偽装やリコール隠しなど企業の不祥事が相次いだ中で、公益通報をしたことを理由とする不利益取扱いの禁止や国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の遵守を図り、国民生活の安定や経済活動の健全な発展に資することを目的として2004年に成立した(法1条)。施行後、事業者の内部通報体制の整備や運用、公益通報者の更なる保護等が課題とされ、2020年の法改正で内部通報体制整備義務等が法律に明記されたほか、事業者がとるべき措置に関して適切かつ有効な実施を図るために必要な指針及びその解説が公表された・・・

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