
同志社大学法学部教授 川和功子
デジタル化社会の進展に伴い、消費者法制の在り方が根本的に問われる局面にある。内閣府消費者委員会の「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」においては、「超高齢化やデジタル化の進展等消費者を取り巻く取引環境の変化に対応するため、消費者の脆弱性への対策を基軸とし、生活者としての消費者が関わる取引を幅広く規律する消費者法制度のパラダイムシフト」についての調査審議を行っている。検討の社会的背景として、「デジタル化の進展等により限定合理性や認知バイアス等が利用され消費者に不利益・不公正な取引が生じやすい状況が生じるとともに消費者取引の国際化も急速に普遍化」していることを指摘する。そこで「消費者を取り巻く取引環境の変化に対応するため、消費者法を理念から見直し、その在り方を再編し拡充するための検討が必要」であるとする。
消費者庁においては、これに先立ち、令和4年〜令和5年にかけ「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会」が開催されている。当該懇談会において「脆弱性」は、「自然人が持つ限定合理性等や、状況的脆弱性」「若年・高齢・貧困等による類型的・属・・・
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