本号では2つの重要な最高裁判決が紹介されています。
1つは、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の違法な勧誘で献金被害に遭ったとして、元信者の遺族が教団側に損害賠償を求めた訴訟で、元信者が署名押印した「返金や賠償を求めない」との念書を「公序良俗に反し、無効」と判断した最高裁令和6年7月11日判決です。
この念書は、元信者(被害者)の娘婿が返金を求めることを懸念した家庭連合の信者が、このことを信徒会の婦人部部長に相談したところ、請求を阻止するために念書を作成する方法があると伝えられ、元信者とともに公証役場に行き作成したものとのことです。
こういった不当な念書は、投資被害の案件など他の消費者被害事案でも見られるところですが、被害者にとってはほとんど何の得もない、加害者に対する損害賠償請求を封ずるためだけに作られるものです。念書を有効とした原審東京高裁のおかしな判断が、最高裁で是正された意義は大きいと思います。
もう1つは旧優生保護法により強制不妊手術を受けた被害者に対して、国に損害を賠償するよう命じた最高裁令和6年7月3日大法廷判決です。この判決に対しては、私が所属する愛知県弁護士会ほかいくつかの弁・・・
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