(公社)全国消費生活相談員協会消費者教育研究所 雪(すずき) 美保子
1 はじめに
成年年齢の引下げ後の若者の消費者被害
「貯蓄から投資へ」の政府施策が進められ、勤務時間外は自由に副業を許す企業も増えてきている。資産運用を推奨する投資教育や金融経済教育が推進される一方で、著者は、リスク管理に関する消費者教育の気運はやや低下しているのではないかと懸念している。
2022年4月1日の成年年齢引下げから2年が経過した。新成人(18歳・19歳)の消費者被害増加が懸念されていたが、国民生活センターによると、2023年度の相談件数は2022年度と比較してほぼ横ばいであった1。
ところが、20歳代になると、クレジット・サラ金強要商法(以下、「クレ・サラ強要商法」という)による消費者被害が急増する。クレ・サラ強要商法とは、消費者が「お金がない」ことを理由に契約を断ると、クレジットカード会社や消費者金融からの借金を強要して、契約をさせる悪質商法2で、20歳代に顕著にみられる。PIO-NETデータベースによると、その相談件数は、2021年度2622件、2022年度3820件、2023年度5115件と年々増加し、契約・・・
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