神奈川大学名誉教授 石川正美
1 ローン提携販売の実質に関する学説
割賦販売法の歴史は、一面において、その規制対象とされる取引形態の拡大の歴史であり、昭和47年改正においては、ローン提携販売が規制対象に加えられたが、この取引形態の実質については、谷川久教授が改正当初から、極めて興味深い指摘を行っていた。
それは、「ローン提携販売は、形式的には代金一括払売買であり、ただ、消費者が売買代金を金融機関から借入れてそれを割賦で金融機関に弁済する契約を締結するに際しての保証契約を販売業者が金融機関と締結する形で、消費者が金融を受けるための便宜を提供することを伴う販売だということになる。したがって、形式的には、割賦販売だとみることは困難であろう。しかし、その実質を考えれば、いわば消費者の信用を利用して、販売業者が金融を受けている関係だと解しえないわけではない。すなわち、実質的に金融を受けるのは販売業者であり、……購入者が賦払金の支払を怠たれば、金融機関は直ちに期限の利益を喪失せしめて、販売業者から貸付残金を取り立てることになると構成される。このように考えれば、金銭消費貸借(買主銀行間)、保証委託契約(買・・・
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