「旧優生保護法は違憲」との判決
─除斥期間の主張は権利濫用─

優生保護法被害全国弁護団共同代表 弁護士(宮城) 新里宏二

 私は、長年弁護士として消費者事件、多重債務問題に取り組んできたが、2013年8月20日、私の原点でもあるサラ金被害者の会であるみやぎ青葉の会の相談会で仮名飯塚淳子さんから相談を受ける。飯塚さんは旧優生保護法により不妊手術を強制されたとしてその被害の救済を訴え続けてきていた。

 多くの仲間とともに、旧優生保護法が立法当初から憲法13条、14条に違反し、国が民法724条後段の除斥期間の主張を行うことは信義則に違反し、権利の濫用であるとの画期的な最高裁大法廷判決を勝ち取る。その軌跡を報告する。

1 旧優生保護法とは

 旧優生保護法とは、1948年、現憲法下で、戦後の人口増加により食糧が不足する状況のなか、同法第1条では、「この法律は、優生上の見地から不良なる子孫の出生を防止する」と規定し、優生上の見地による人口政策を法律の目的の一つとしていた。国会において全会一致により議員立法で制定された。

 1996年9月、旧優生保護法は、優生条項が「障害者差別に当たる」として「母体保護法」に改正され優生条項が削除されたものの、被害者への補償制度など必要な議論が・・・

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