「迷子犬猫」のネット動物情報を全て隠しての即日殺処分 飼主の所有権の侵害
─神戸地裁2部2024年7月15日判決─

弁護士(大阪) 植田勝博

 神戸地裁2024年7月15日判決令和4年(行ウ)第38号動物愛護管理事業公金支出金返還等請求事件(裁判長裁判官野上あや、裁判官鈴鹿祥吾、裁判官関根隆朗)

1 兵庫県動物愛護センターの即日殺処分は、「情報を一切出さずに、行政の自由裁量で殺すことができる」とするのが判決となっています。このような自由な行政の違法殺処分を許容することは到底許されません。

2 動物の命は、法律上の許可がなければ許されないところであり、それは遺失物法も認めている訳ではなく、また、動物愛護法は、犯罪によって処罰をされています。この点において、動物愛護法の犯罪に違反する行政の自由裁量の違法殺処分は、違法な犯罪行為というべきです。この点から行政の自由な殺処分は違法という法改正が是非とも必要です。

 また、餌やり禁止については、TNRに基づいて、官民一体で野良猫の行政の引取殺処分は禁止されているとの立法化が必要です。

3 所有者の権利を行政が自由裁量で奪うことができると判決は言っています。所有権は憲法29条であり民法の所有権規定であり、これを行政の自由裁量で奪うことができるとの判決は到底許されないことで、こ・・・

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