マンション共用部分の欠陥の100%補修のために

弁護士(広島) 森友隆成

1 マンション共用部分欠陥訴訟の原告は誰か

 マンションのような区分所有建物の共用部分に欠陥があり、販売業者に対して契約不適合責任に基づく補修費用に相当する賠償請求訴訟を提起する場合、原告は誰か。

 区分所有法26条3項は、共用部分について生じた損害賠償金の請求について管理者は区分所有者を代理するとし、同条4項は、規約又は集会の決議により、原告又は被告となることができると定める。

 この条項は、平成14年の区分所有法改正で新設された。平成14年以前は、各区分所有者が持分に応じて訴訟提起をする必要があるとして、管理者の一元的な訴訟追行権は否定されてきた(東京高裁平成8年12月26日判決等)。

 しかし、区分所有者が権利行使をしない場合や受領した賠償金を補修に充てない場合、欠陥を補修するに足る賠償金を管理組合が取得できない不合理な事態となる。

 そのため、区分所有法が改正され、現在、管理者(多くの場合、管理組合の「理事長」)が、規約または集会の決議により、区分所有者を代理して、損害賠償請求訴訟を提起している。

2 東京地裁平成28年7月29日判決がマンション管理実務に与えた影響

 ところが、・・・

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