輸入ベッドガードで乳幼児が窒息した事故(東京地判令和6年3月22日)

一般社団法人日本消費生活問題研究所主任研究員 土庫澄子

1 事案

 平成29年8月8日午後4時すぎ、X1、X2(当時生後9か月であったAの両親)は寝室で、ベッドガード(以下、本件ガード)を取付けた成人用ベッドにAを寝かしつけ、別室で夕食をとった。同午後6時40分頃、Aが本件ガードとベッドマットの間に転落しているのを発見し、同午後8時すぎ、死亡が確認された。司法解剖の結果、胸郭運動制限による窒息死と推定された。

 本件ガードは、台湾のメーカーが平成24年9月5日に製造・出荷した転落防止用のポータブルベッドガードで、Yが同13日に輸入、平成25年7月頃までに販売した。平成29年7月末頃、X1らはインターネットオークションで本件ガードを購入、同8月2日自宅の寝室に設置した。

 X1らは、本件ガードの設計上及び指示・警告上の欠陥によって事故が発生したとして、Yに対し製造物責任法3条に基づき4672万円余の損害賠償を求めた。

2 本件ガードの構造と表示

(1)本体構造

 本件ガードは、垂直に立ち上がるガード部と、マットとベッドフレームの間に水平に挟みこまれる脚部からなる。ガード部と脚部はヒンジ(蝶番状の部品)でつなが・・・

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