SNS上のニセ広告による投資被害についてのメタ社提訴について

弁護士(大阪) 堀 貴晴

1 はじめに

 令和6年4月25日、神戸市などに居住する男女四人がSNS上の有名人を語るニセ広告をきっかけに投資被害にあったとして、当該SNSを運営するMeta Platforms, Inc.(以下、「メタ社」)の日本法人に対して損害賠償請求を求める訴訟を提起した。

 私は、原告弁護団の一員として本訴訟に関わっており、訴訟の背景やその意義について述べる。

2 詐欺被害の状況

 令和5年ころからメタ社が運営するSNS(フェイスブック、インスタグラム)において、堀江貴文氏や前澤友作氏らの有名人・実業家の画像や名前を無断で使用して同人らになりすまし、投資に誘導するニセ広告が横行するようになり、ニセ広告をきっかけとする投資詐欺の被害も急増していった。

 詐欺の手口は、有名人を語る広告により興味を持たせ、広告をクリックした被害者をLINEなどに誘導したうえ、多数のサクラがメンバーとなっているグループLINEでやりとりをさせ信用させたうえで、有名人のアシスタントなどと名乗る人物が投資を勧誘するというものが一般的である。

 警察庁がまとめた令和5年のSNS型投資詐欺被害の認知件数は2271件、被害総額・・・

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