近時の金商法・金サ法の改正について

弁護士(東京) 島 幸明

1 はじめに

 金融商品取引法(以下、「金商法」)と、金融サービスの提供に関する法律(旧金融商品販売法。以下、「金サ法」)は、金融商品・金融サービスに関する中心的な法律である。以下、近時の改正の中でも特に重要な、令和5年11月20日成立、同月29日公布の金サ法・金商法の改正(以下、「令和5年改正」)について解説し、令和6年5月15日成立、同月22日公布の金商法改正(以下、「令和6年改正」)についてはポイントのみ言及する。

2 令和5年改正(金サ法・金商法)

(1)概要(改正のポイント)

 令和5年改正のポイントは、金サ法における①顧客等に対する誠実義務(最善の利益義務)の創設、②金融サービスの利用環境の整備等(金融経済教育推進機構の創設)、金商法の③実質的説明義務の法定化、④四半期報告書の廃止等の四点である。

(2)金サ法改正

ア 顧客等に対する誠実義務(最善の利益義務)の創設(2条)

(ア)改正法2条1項は、金融サービスの提供等に係る業務を行う者(金融事業者)について、「顧客等の最善の利益を勘案しつつ、顧客等に対して誠実かつ公正に、その業務を遂行しなければならない」とする、顧客・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。