景表法における「No.1」広告の問題点

日弁連消費者問題対策委員会委員・独占禁止法部会 弁護士(東京) 宮城 朗

1 最近の「No.1」広告の行政処分状況

(1)令和6(2024)年2月~3月にかけて、消費者庁は、「不当景品類及び不当表示防止法」(以下「景表法」という)5条に基づいて、いわゆる「No.1」表示を摘発理由の一つとする措置命令を頻繁に発出し、マスコミ報道においても注目を浴びている。

(2)理解の前提として、景表法上の不当表示規制は、商品・役務等の製造・販売元である事業者が自社の商品等に関する広告内容を偽り、一般消費者の誤認を生じさせ、その自主的かつ合理的な選択の機会を阻害するような広告に対し、措置命令(当該広告を止めさせること等を命ずる)、場合によっては課徴金納付命令を発することができる。

(3)不当表示の主たる内容は、①「優良誤認表示」(景表法5条1号。商品等の品質・性能・規格等の内容を偽ること)、②「有利誤認表示」(同法5条2号。価格をはじめとする消費者取引の契約条件を偽ること)であるが、その他、③消費者庁が告示で内容を定める「指定告示事項」(同法5条3号)がある。

(4)現時点から、過去2年程遡って「No.1」表示と・・・

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