弁護士(奈良) 水丸貴美子
奈良県生駒市で起きた、引取り扶養をめぐる保護廃止処分とその後の二度の保護申請却下処分の事案です。
原告は精神障害のある50代女性です。平成28年から生活保護を受給して一人暮らしをしていましたが、令和2年10月、「携帯電話を持つこと」「求職活動をすること」という指導に従わないことを理由に保護停止処分をされました。その後、周囲の支援により何とか携帯電話を持ち、週2日のアルバイトに就きました。しかしながら、同年12月、「親類・縁者等の引取り」を理由に生活保護廃止処分がされました。なお、もともと原告は精神疾患の病識がありませんでしたが、停止処分後の経緯のなかで支援者が本人に精神疾患があることを説明しても、職員は「精神障害との認定もなく障害者として対応することはできない」という対応でしたので、令和3年1月、精神障害者保健福祉手帳(2級)を取得しました。
保護廃止処分後も親類・縁者等の引取りや援助はなく困窮しました。そこで、令和3年4月に保護申請したのですが、「親類・援助等の引取り」を理由に却下されました(第1却下処分)。その後も引取り扶養や援助はありませんでした。令和3年7・・・
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