日本の民主主義運動強化のために(40)
─国民をして法を守らしめよ〜士業の責任と倫理〜─

弁護士(大阪) 木村達也

1 「士業」の責任

 日本には「士業」と呼ばれる職種が多数存在する。弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、弁理士、一級建築士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、宅地建物取引士、社会保険労務士など、数十万人の法律専門士業が存在する。これら士業に従事する人達はすべて「自らは当然として、広く国民をして法を守らしめよ」として国から資格を授与された人達である。

 しかし、この士業が日本国において、真に適正に国民・企業の不正を摘発し、必要に応じて告訴、告発し、違法を是正する業務を十分に果たし得ているだろうか。

 あるいは、自らの業務の執行中、顧客の不正を発見したときに在るべき法の遵守を命じ得ているか。もし、個人でできなければ加入する組織や団体として告訴、告発し、マスコミや当局を通じて是正し得ているかが問われる。現実の問題として、士業の人達の多くはこれら顧客の不正に対し口を噤んでしまうのではないかと思う。

 士業は法律の専門職として顧客の不正を見て見ぬ振りをしたり、黙ってやり過ごすということは許されないはずである。しかし、今日、監督官庁の人手不足のなかで、これら士業の不正をどれだけ告発できている・・・

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