14.6%の遅延損害金の長期加算の過酷
─消費者契約法9条2号を引き下げよう─

弁護士(神奈川) 茆原洋子

1 法定金利3%への改正民法404条の根拠

 民法404条の定める法定利率は、令和2年4月1日施行の民法改正により、5%から3%に変更された。第192回国会衆議院法務委員会会議録9号6頁によれば、政府答弁に当たった当時の金田大臣は「市中金利の水準を考えて引き下げた」と述べた。さらに「金銭債務の損害賠償金を算定する場合でも、他から金銭を調達するときの利息分がおもな損害として想定される」と述べ、加えて、「預金金利水準なんかではなくて貸出金利の水準を参照すべきだ」と述べている。要するに、金銭債務に関する債務不履行による通常の損害は、3%以内に収まることを前提として、法改正がなされたのである。

 民法416条は、「債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。」としているので、本来は、3%の遅延損害金が相当であるはずである。ところが、これを一挙に崩す条文が民法420条である。「当事者は債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。」とする結果、銀行など圧倒的に強い力を持つ貸す側の定める契約条項に14.6%と記載・・・

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