元消費者庁財産被害対策室財産被害調査官(元内閣府事務官) 大矢安昌
1 実体不明の事業者
(1)令和6年6月11日に消費者庁は「大手通信関連会社の名称を語り、自動音声や国際電話番号等を用いて架空の利用料金請求を行う事業者に関する注意喚起」を行ったが、本件事業者の実体は不明である。また、令和5年9月28日に消費者庁が行った「偽の警告表示に「Microsoft」のロゴを用いて信用させ、ウイルス駆除等を行うなどと称して多額の金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起」の事業者も実体が不明である。
(2)そもそも実体不明とした理由は何か、報告徴収と令状を駆使すれば、特定の情報には辿り着くはずである。しかし、“なりすまし”をどこまで追及できるのか、事案と取引先の対応次第で問題は残る。そこで、究極的には、消費者庁が、令状によって、実体不明の取引口座やアカウント、電気通信の送信までを直接凍結できるシステムを消費者安全法上、制度化したい。
2 報告徴収と令状請求
(1)さて、ここからは、守秘義務もあるので、仮定のこととして議論を進める。消費者安全法第45条には、罰則を担保とした報告徴収が定められているが、消費者事故・・・
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